｢クズの本懐｣のレビュー・感想

お互いに叶わない恋をこじらせ、別の人に愛する人を重ねて慰め合うという、まるでフレッシュさを感じられない高校生の男女を描く本作。
異性じゃないと埋まらない隙間とか、どうしようもない寂しさとか…、まぁ気持ちはわかります。不安定さとか純粋をこじらせたクズぶりが、妙に無機質でリアルなんですよね。
人を傷つけながら自分も傷ついていく不器用すぎる2人を見ていると、自分のクズぶりを思い知らされるかも…。

インモラルな関係の危うさと魅力が満開のマンガです
周りもうらやむ美男美女のカップルには、実はそれぞれ別に好きな人がいて、抱き合っているときも、別の誰かを想像しています。
誰かと抱き合っているとき、別の誰かのことを想像したり、ふと頭をよぎってしまったりしたことって、誰にでもあるんじゃないでしょうか。そういった誰もが奥底に秘めている危うい欲望をまざまざと見せつけられる恐い作品でもあります。

可愛い絵柄とは裏腹に、男女の恋愛模様がダークに描かれたラブストーリー。報われない想いを偽りの恋人同士で埋める姿に、抗えない本能剥き出しの思春期さをを感じます。子どもでもない、大人でもない…センチメンタルな時期の主人公たちを描いた秀逸作！

誰もが羨む「理想の高校生カップル」。でも、それは仮の契約。
本当はそれぞれに好きな先生がいて、互いを身代わりにする「偽造カップル」なのです。
好きな相手を想像しながらキスをし、体を重ね寂しさを埋め合う２人。
他人の弱みや好意に漬け込み合う行為がどんなにクズだとしても、やめられずハマっていく姿がなんとも切ない。
彼らを想う同性の親友や幼馴染、そして先生も絡み合っていくドロ沼恋愛群像劇から目が離せません！

一見理想的な高校生カップルの2人。しかし2人とも他に好きな人がいることを了解しながら一緒にいるのだった。お互いを好きにならないこと、どちらかの恋が実ったら別れること、そしてお互いの身体的な欲求にはどんなときでも受け入れることを条件に付き合っている振りをすることになる。それぞれの恋の終着点が、言葉に出来ない…不安定さとか心理描写が緻密で…心がギューーってなる作品です。

タイトル通り、登場人物全員がクズといっても過言ではないこの作品。
お互いに別の誰かを想いながら付き合っている花火と麦を中心とした恋物語です。
本作で描かれているのは、どこまでも自己中心的な恋愛感情ばかり。
でも、綺麗事じゃないからこそとてもリアルで、読み手の心に刺さるんですよね。
各登場人物視点のモノローグが挟まれているため、個性的なキャラにも感情移入がしやすいです。