あくまでファンタジー
そう思いながら、ありがたく、読ませていただく作品です。
悪人もいませんが「大人」が、誰一人、いないともいえる。
主人公の男性は、中高一貫の名門校から、国家公務員総合職(大卒上級職)に合格し、中央省庁に、まだヒラでありながら、国会答弁書の作成も担当するほどの「将来を嘱望されるエリート」です。
しかしながら、かなり精神的に幼く、これは成育歴にも事情があるのですが(父親が、自分の子供にも徹底して敬語で話す、少し戦慄を感じさせるほどのお坊ちゃまの様相を見せる。等)、青春期の大事な大事な大学4年間を付き合い通した元カノに「おまえのこと『わりと』好きだった。」と言ってのけたりと、よくこれで「官僚とニートを結婚させて少子化問題を解決に持っていく」法案の被験者となることを受け入れたなあと思わせるほどです。
美少女ニートは、いろいろと事情があり、世間の知識を全く教えられていなかった気の毒さはありますが、最初は、ややとっつきにくい。しかし、主人公と、たまたまウマが合い、愛を育んでいくという感じです。
ご近所さんなど、登場人物も多彩ですが、最も「近しい」一家が、かなり図々しく、社会的な常識に欠けており、特に小学生の息子は、検査や治療を受けた方がいいのではと思われるほどに傍若無人で、某アプリのコメ欄等見ますと、好き嫌いがかなり分かれます。
(作中で、美少年に、一般的な人格に成長していくと『不良がマジメになると宣言すると、本来それが当たり前なのに褒められる理論』にて、絶賛されるようになります。)
よく、レビューで言われることなのですが、イケメン官僚と美少女ニートだから、読んでいけるもので、これが実際に全国的に施行されれば「どんよりヒキニート男子と、若手女性官僚の半強制的な結婚」も出てくるわけで、まあ、そこを想像するのは、無粋というものです。
終盤、主人公が、組織のルールを一切無視した越権行為をとりますが、ものすごいミラクルな展開があり、本来なら省から放逐されかねないところ、逆に「抜擢」され、その後かなり「認められた俺様」になり、嫌悪感を持ってしまうところがあります。
結果、めでたしめでたしですが「同業」の友人によると「法案は論外として、このような幼い人物が実在すると想像されたら、かなりきつい。」とのことでした。
ありがたく、読ませていただく作品です。