｢ミスミソウ 完全版｣のレビュー・感想

後味の悪すぎる最悪の復讐劇を題材にしたマンガで、田舎の中学生たちによる人の死まで踏み込む壮絶ないじめと復讐劇。
最終的に一切の救いがないって、もうダレトクなんだと、読んだ当初物凄く思った作品です。
いじめられた主人公が復讐の鬼と化した時、これまでどんだけだよ…と思うほどやられっぱなしだったのが、人が変わったように狂っていく様は正直震えます。
これで来年映画化する話も浮上していて、キャストが気になりすぎるところです。

このマンガを読みきった時に思ったのは言葉が出ない…とはこういうことなのかな、ということ。
田舎に引っ越してきたことをきっかけにイジメに発展し、イジメだけではなく、家族まで標的にされ失ってしまうことに…。痛み、悲しみ、憎しみ。
主人公を中心に様々な感情が渦巻いているけど、本当に救いがないマンガ。
それでも最後に一筋の光が見えたような気がして、希望がみあるのかもしれないと思わせてくれる。そのバランスが秀逸なマンガです。

家族を焼き殺された少女の復讐劇を描く『ミスミソウ』。間違いなく、読んでいると息が詰まるほどの苦しさに襲われます。
でも私は思うんです。登場人物のほとんどは決して許されない行為に手を染めてしまったけれど、皆、心のどこかで助けを求めていたんじゃないかと。それが歪んだ愛に変わり、悲劇が生まれてしまったのではないかと。
鬱展開が続くものの、読了後には考えさせられるきっかけを与えてもらえる。そんな作品です。

田舎の中学を舞台としたイジメを中心に理不尽なまでに救いようのない精神的リンチマンガ。
子役の芸能人が言ってた「いじめる側が原因を相手の中に「見つけた」だけ「いじめる側に誰かをいじめたいという目的（結果）があってその目的に向かって、原因を探し出された」というコメントを思い出しました。
イジメの理不尽さって元を辿れば家庭環境なんだよね、と思いながら心を潰される珠玉のコミック。

読んだら最後、ラストまでどうなるのかイッキ読みせずにはいられない！
いじめ・嫉妬・憎悪が生んだ悲劇から、物語はさらなる悲劇を生んでいく…。
狂いまくった小さな世界で、次々と起こる悪夢のような展開。
グロテスクでダーク、人と人が傷つけ合う中で希望はあるのか？
先の読めないストーリーで、後半明らかになるまさかの事実に驚愕でした…。
苦しい、でも読んでしまう！言葉通りに病み付きの一冊です。

いじめを受けたうえに、家族を家ごと燃やされたらそりゃ復讐もしたくなります。
クラスメート＋教師は全員病んでるの？ と思うくらい、それぞれが狂っていました。
閉鎖的な田舎に引っ越してきた主人公・春花の味方になるクラスメートは相場くらいでしょうか。
「僕がいるじゃないか」と支えになろうとする姿に思わず涙が……。ただ、この優しい相場くんも少しずつ怪しい一面を見せてきます。正直私は、相場くんが一番怖かったです……。

「いじめはなくならない。なぜなら最高の娯楽だから」と誰かが言っていました。
誰もがいじめはいけないと分かっていますが、それでもなくなることはありません。いじめを受けた側は、黙って被害者でいるしかないのでしょうか？ それとも、被害者でいることを止め、加害者になったことで救われるのでしょうか？ いじめられ、復讐を決意した主人公の静かな怒りが伝わってくるマンガです。

暗い。ひたすら暗いです。少女が受けるイジメと復讐の物語です。注意事項は二つあります。
まず、イジメにトラウマがある方は読んではいけません。イジメの描写が多すぎるので。二つ目は、好きな人が家に来るときは、隠しておくこと。この本を読んでいるということがバレたら、精神状態を心配されてしまう恐れがあります。一人で楽しみましょう。