自閉症当事者の感覚が分かりやすく描かれています。
自閉症(今は広汎性発達障害と呼ぶ)の子どもに関わることが多かったのですが、その前にこの本に出会えていたら、と思いました。
20年前、小学校で補助をしていたとき、自閉症の子がなぜパニックを起こすのか、なぜ嫌がるのか分からず、試行錯誤で関わっていました。彼らにとっては色々不安にさせることも多かったろうなと、この本を読んで色々納得しました。
アルファベットはわかるけど、人の顔の区別や表情の違いがわからない。なにか大きなきっかけがあって、初めて認識が始まる。そういったことをうっすら知識として知ってはいたけど、なるほどこういうことなのかと膝を打つような気持ちで読みました。
新しい法律ができて、自閉症の人も通常学級に増えるかもしれません。その時に、こういった、当事者の感じ方がわかる本が教室にあったら、無駄な軋轢は減らせるのではないかと思いました。
ただ、この本はあまりに時代が昭和で、教師の無理解や、教師がいじめに荷担する様子、大人による人権無視の発言など、今との差の大きい部分もあります。
今は、3歳までに健診などで指摘され、療育を受けられるし、小学校に入る前に通級や固定の特支学級の説明を受けられます。
筆者の方や、ご両親のご苦労があって、今の支援体勢が築かれてきたのだなぁと思いました。
とにかく、よくぞ、書いてくれた!の一言につきます。読んでよかったです。