眩い輝きを放つダイヤモンドもいいけれど、触れると壊れてしまいそうなガラス細工のほうが好き。
そう思っている女性は意外と多いと思います。
今回はそんな方々に知ってほしい、儚く繊細で、どこか非現実的な世界観を持つ作品を選んでみました。
表紙を見てピンと直感が働いたなら、買って損はしません。
世の中には表紙詐欺な作品が多い中、この「オリンポス」は中身こそが美の真骨頂と言わんばかりに、全ページが繊細で美しい絵に埋め尽くされています。
舞台は花々の咲き乱れる箱庭。突然そこに連れてこられた美貌の王子ガニュメデスと太陽神アポロンが哲学的な会話を繰り広げるという異色作です。
ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」のように、対話に独特の妙味があります。
綺麗な蝶に孵化する直前のさなぎのような、思春期の少女たち。
その心の内側の生々しく醜い感情が、細やかな筆致で丁寧に描き出されている作品です。
桜田雛先生といえば、「王子達は依存する」や「分別と多感」など独特の世界観を持つ作品を多数生み出されていますが、その中でも情景描写の美しさは随一ではないかと。
タイトルに惹かれた方なら、この世界観に魅せられることでしょう。