「こじらせ」た感情を描いた名作5選

FRIEND OR FOE
あげくの果てのカノン
零落

家庭環境であったり、学校や職場環境であったりが原因で心をこじらせてしまってる人が少なくない現代社会。
そんな想いを抱えた経験がある人だからこそ、楽しめる物語もあるんです。

FRIEND OR FOE葉月京

とても優れた短編集でおススメしたいのがこちら。
少し剣呑な雰囲気の恋愛物語ばかりが五編収録されています。
どのお話も人間関係の複雑さがあり、その上での波乱の展開があって、一体どんな結末に陥るのか最後の最後まで解らない緊張感があります。
ただ、読み終わった後は非常に良い作品を読めたなぁ、という満足感が残るのは確かです。
実写化されても全く不思議はない、正に隠れた名作と呼ぶに相応しい作品です。
ぜひ読んでみて下さい。

あげくの果てのカノン米代恭


このヒロイン、本当にヤバい。しかしながら、だからこそ一部の人は切実に共感せざるを得ないでしょう。
状況は違っていても、カノンと同質の想いを抱く、あるいは抱いたことのある方には確実に響く物語です。
愛と狂気は同じものでできているし、常に紙一重だと感じます。
ネタバレ無しで、あらすじすらも読まずにまず一話を、そして一巻を読んでこの衝撃を受けてみて頂きたい作品です。

零落浅野いにお

浅野いにお先生のダークサイド側の新作です。
『おやすみプンプン』が好きだった方は絶対読んで欲しいですし、未読の方でも暗い話やこじれた話が好きな方はぜひ手に取ってみてください。
一度は少しばかりの栄光と金銭を手にしたはずの男が掴む虚無。妻との不和が加速する中で、出会う一人の少女。
この一巻完結の不実の物語の行き着く先を見届けてあげて下さい。

月と指先の間稚野鳥子

55歳の美魔女漫画家をヒロインに置いた仕事と恋の物語。
既婚者の恋人がいる一方で、若手編集者に惹かれもする。罰が当たっても仕方ない状況の中で、一人の人間として、オンナとして苦悩しながらも日々の仕事は真摯に行い読者にプロとして楽しみと喜びを与えていく。
そんな営みが何とも言えずエモーショナルです。
パッと見では全然55歳には見えないのですが、読んでいく内にそんな些細なことは気にならなくなり気付けば惹き込まれている物語です。

アオとハルしおやてるこ


こじらせた少年と、こじらせた少女による青春の痛みが克明に刻まれた作品です。
子供の身空で対峙するにはあまりに辛い不条理も、この社会では時として非情に襲い掛かってきます。
それでも健気に、懸命に、藻掻き抗う人間の姿には様々な想いが湧き起こってきます。
この作品の中の痛みは、きっと誰かを救うことでしょう。
一般的にはマイナーですが、もっともっと知られて読まれるべき秀作です。