少女マンガに共感出来ない大人の女子にこそオススメしたいマンガランキング

おはようおかえり
恋は雨上がりのように
ぬけぬけと男でいよう

「クラスの中でも地味目な私に、なぜか学園一のイケメンが話しかけてきた!!」系のストーリーに、リアリティーと胸キュンを感じられない…という大人の女性にこそ読んで欲しいマンガを一挙ご紹介します。

おはようおかえり鳥飼茜

小洒落たアクセサリー屋を営む奔放な美人姉二人と、お香を取り扱う中小企業で働く堅実な弟。三姉弟それぞれの生き方や恋愛模様を描いた作品。
この作品は京都が舞台になっているのだが、京都を舞台にした作品に時折見られる"京都最高!"感が無く、出てくるキャラクターたちが現代的。純愛、結婚観、不倫、仕事に対する葛藤が柔らかに描かれている。ぜひ白檀を焚きながら読んでほしい作品。

恋は雨上がりのように眉月じゅん

クールな女子高生が、ファミレスの店長(おっさん)に恋をする…というストーリー。ストーリーだけを聞くと「はいはい、おっさんの願望マンガかよ!」と思いがちだが、ご都合主義に描かれたマンガでは一切ない。
まず、おっさんは女子高生に言い寄られたことに対して浮足立たない。「この子も、そのうち気が変わるだろう」と現実的に受け止め、必要以上に親密になろうとしない。それどころか「俺にもこんな若い時代があったなァ、夢も諦めて…気づけば老いてしまったな」と切ない独白を繰り返す。
対して女子高生は「本人は意識してないけど周りからみると輝かしい若さを纏った」の象徴として描かれている。
この対比は「大人になってしまったことの残酷さ」を物語っているようで、考えさせられるものがある。
制服を半袖に衣替えした日、朝駅のホームで感じた夏の気配…といったような懐かしい感覚を蘇らせてくれる作品である。

恋は雨上がりのようにの画像

ぬけぬけと男でいようイワシタシゲユキ

不倫に明け暮れる広告代理店勤務の男の話。不仲の嫁、最愛の娘、そして癒してくれる不倫相手たち。それぞれとの関係の中で主人公の「心の声」だけをひたすら読んでいく主観マンガだが、この「心の声」がとにかく面白い。少し個性的な不倫相手のことを「まるで、いつもは通らない道で偶然見つけた一風変わったレストランのようだ…」と形容するなどいちいち詩的なのだ。
クズすぎる行動をとったことに対する心の中でも言い訳が、すべてセンシティブな言葉でまとめられている。
主人公の、都合によい解釈と自己陶酔的なセリフをみていると、男性になって浮気してみたくなる気持ちすら湧いてくる不思議一冊。

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新装版 うさぎドロップ宇仁田ゆみ

親戚のお葬式で会った、身寄りがなくなった幼い女の子。その子を引き取ることになった男性会社員の育児奮闘記。
育児奮闘記といっても「子供に振り回されて大変!」という切り口ではない。子供が描いている絵を見て「この子は、一枚の紙に小さいイラストををたくさん描くのが好きなんだ…」とその子がもつ個性や特徴を見守ったり、小学校に入ると「周りの女の子のように可愛く髪を結いたい」と言い出す様子から学校でなにかあったのかなと心配したりと、読み手にまで親心が芽生えるエピソードが詰まっている。
子供の「自我」の目覚めや「社会性」を得ていく様に心が温まる。読んでいくと、母性に目覚めていくような気がする。

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私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!谷川ニコ

物事を斜に構えて見ていたり…どちらかというと卑屈な性格かもな、私…。という人に是非読んでほしい作品。「卑屈な奴の学生時代あるある」が詰まった一冊です。
授業中につい卑猥なことを考えてしまったり、気がつけば頭の中で空想の会話(自分がヒーローインタビューを受けることになったときの受け答えの想像)など非生産的な想像を日常的にしていた人向けのマンガです。
けれども「あーあ、ぃつか王子様みたいなイケメンが現れてくれないかなー」といった類の乙女チックな妄想を楽しんでいた人には全く刺さらないので、あくまで自分は卑屈だという自負がある人にのみおすすめします。