舞台の上の美しさ……一筋のスポットライト、一回の歓声のためにすべてを犠牲にする女性たち。その輝きは、彼女たちの恋や人間関係での葛藤の上に成り立っています。
そこで今回は、そんな彼女たちの美しさの原点を辿るマンガをご紹介します。
アメリカ育ちでダンス好きの少女・祐紀が受験した宮苑音楽学校は、声楽や演技力も要求される歌劇学校。
挫折を味わいながらも成長し、何度でも自分の演技と向かい合う決意を固めていく姿に自然と涙が出てきます。
注目は、愛する高師の演出するデビュー作で成功を収めた祐紀が、その後の公演で実力が本物でないと気づく場面。
愛した男に「ひとりの女優」として利用され、捨てられたと感じた彼女の哀しみはいかばかりか。
それでも演じたい、踊りたい、舞台に立ちたい……と願う、ひとりの女性の生き様に胸を奮わせずにはいられないはず。
バレエは、レッスンを「1日休めば自分にわかり、2日休めばパートナーにわかり、3日休めばお客様にわかる」という戒めが存在します。
絶対的な舞台上での上下関係、そこから生まれる美しさ、妬ましさが色濃く描かれています。
主人公・レディの妊娠がわかったとき、バレリーナとしての幸せか、女性としての幸せかを選択することに。
自分にも、パートナーにも、お腹の赤ちゃんにとっても大事な選択……。
現代のキャリアウーマンにも、通ずるところがあるかもしれません。
バレエの主役が「プリマ」なら、オペラの主役は「女神(DIVA)」。
バイオリン少女・リマが歌でDIVAを目指す目的は、歌姫である母親への憎しみが原因なのがなんとも哀しい……。
そんなリマが、恋愛を諦めるときも描かれています。
その後も彼の影を追いつつも、歌からは逃れられない少女の苦悩は計り知れません。
美しいオペラの影でうごめく人間関係にも注目!
バレエが人生の全てだった女性。彼女の初めての恋の物語は、透明感に満ちた美しいものでした。
「これ以上やると、大好きだったものを嫌いになる気がした」という言葉が出てくるのは、それだけ本気だったという証。
それだけの魔力を秘めた舞台バレエを捨て、隣に住む男性を静かに好きになっていく姿に、寂しくも繊細な感動を覚えます。