美しい背景に癒されること必至のマンガたち

マグネット島通信
アルテ
廃墟少女

都会で仕事やタスクに追われ、ちょっと疲れてしまったなぁという時。どこか風景の美しい場所にでも行って癒やされたいですよね。
でも忙しくてそれも叶わない……そんなアナタも、せめてマンガを読んで癒やされませんか?

マグネット島通信伊藤正臣

マンガの背景はページの最初だけしっかり描いておけば後は読者が脳内で補完するのでそこまで綿密に描かれないというパターンも多いです。
しかし、この作品は通常のマンガの二倍以上の密度で背景がみっちり描写されます。
ある島を舞台にした本作は、1ページ目から潮の香りが漂ってくるよう。
寄せては返す波の音、ジリジリと降り注ぐ太陽光の温度、海辺で頬に当たる風……そういったものが読んでいて強く感じられます。
謎の金属片の正体も気になりながら、何よりも作品を包む優しい空気感と風景に癒やされる作品です。

アルテ大久保圭

16世紀初頭のイタリアを舞台に、画家を目指して奮闘する少女を描いた物語です。
貴族の家に生まれたヒロインで、そうでなくとも女性が職人になって単独で生計を立てていくなんて有り得ない、いい相手を見つけて嫁ぐのが女性の幸せという時代。
世の風潮に負けず、自らの夢に向かってまっすぐに進んでいくヒロインの姿に胸が熱くなり応援したくなります。
そして、絵が美麗なのが本作の特徴。美しく描かれたフィレンツェやヴェネツィアの風景を眺めているだけでも幸せになれる作品です。

廃墟少女尚月地

「廃墟」というものに惹かれる人というのは一定数いるのではないでしょうか。
かつて人が生み出し、賑わっていた場所が頽廃し人の気配が完全に消滅した静寂の空間がもたらす独特の雰囲気。
そんな廃墟を一つのテーマに据えた短編集となっています。『艶漢』でもお馴染みの高い画力で描かれる、美麗な廃墟の数々は素晴らしいの一言。
表紙だけでも飾っておきたいほどの魅力がありますね。
そして美しい少女たちを始めとする多様な人物たちが織り成す物語は、純粋にドラマとしても楽しめる内容。お薦めの一冊です。

アルクアイネ-サンバベッジ妖精譚-三ノ咲コノリ

癒されるマンガ、風景が綺麗なマンガといえば『AQUA』『ARIA』が金字塔ですが、その正統なるフォロワーであるのがこちら。
日本でも新年には初詣に行き、新しく土地に建物を建てる際には地鎮祭を行うように、北欧の人々に親しまれているのが妖精。
そんな妖精と関わる「妖精発見人」をしているヒロインの物語です。
様々な事件を清々しく解決していく姿、そしてその後にある人間や妖精の心の動きに優しい気持ちになれます。
北欧の背景も非常に美しく描き込まれ、読んでいて浄化されると感じる作品です。

はじめましてのシルヴァンドル倉橋ユウス

「『よつばと!』みたいなマンガありませんか?」と私が訊ねられて、『ばらかもん』よりももう少しマイナーめの作品を紹介する時にはこの一冊を出します。
書き込まれた現代日本の風景と、ある秘密を持った子供の織り成す癒しは実に『よつばと!』的。
しかし、それだけでは終わらないのが本作です。
まさか……そんな……!?一冊完結で読み易いので、何が起こるかぜひ確かめてみて下さい。