『BASARA』だけじゃない！田村由美先生のワイルドな世界観に浸る短編5選

百の鬼を回収するまで、人間の姿では会えない恋人同士のカナとレイジ。鬼退治の旅では、大切な友人を失ったり、片方が自分を犠牲にしたり、衝撃的な展開の連続です。
そして、田村由美先生、やはりキャラ設定がお見事。軽くてオレ様なレイジと気の強いカナのコンビは絶妙。お互い真っ直ぐな最強カップルです。唯一バトルのない章「草競馬」でカナへの想いを語るレイジに胸キュン必至。愛と戦いに熱くなれる、ロマン溢れる作品です。

なんと警察の思惑で心臓に時限爆弾を埋め込まれた少女・かれん。同じく爆弾を抱えるBOY、KIDと共に警察に宣戦布告します。外科医であるかれんの本当の父親だけが爆弾を外せる、と知り、父親を探す旅かと思いきや……。
ショッキングな事実が発覚し、ラストまでずっと目が釘付けです。
かれん、BOY、そして父親との絆にはホロリ。スリルに感動、色んな感情を刺激される、短編ながら読み応えある作品です。

都心のウォーターフロント・湾岸JUNGLEに取り残された、幼馴染のかのえと近衛。彼女たちを島に閉じ込めた謎の殺人鬼がなかなか正体を現さず、終始ドキドキハラハラすること間違いなし。ミステリー要素も満載です。
そして、ちょっと頼りない近衛が見せる男らしい表情には胸キュン。好きな人と無人島に二人きりでサバイバル……恋に恋する乙女心を、ちゃっかりくすぐってくれちゃう作品です。

救助活動や極秘任務を遂行するレスキュー隊のレイ・魚住・シン。大地震にクーデター……。壮大なストーリーでありながら、実は打ち切りになったというこの作品。完結している感はあるので、2巻まででも十分楽しめます。
レイの魚住に対する実らぬ想い。そこに男女の愛を超えた絆があるのが、憎らしくも奥深さを感じさせます。
田村先生の作品に見られる社会派的要素も濃く、フィクションの中のリアリティを味わえる作品です。

頭で火を想像すると、実際に火事を起こしてしまう主人公・大関。自分の能力に負のイメージしか持てない彼女は、人助けの組織、超能力労働隊・WILD.COMへの入隊を勧誘され、葛藤します。
この大関のキモチは分かります！　謙虚さを美徳とする多くの日本人は、自分の能力開花を無意識に封印しがち。彼女が心境変化し、「自分の特技を人のために生かそう」と思えた時、自分も変われるかも、と思えます。自分を生きる覚悟をもらえる作品です。