これ一冊で幸せになれる!心晴れやかになる単巻の傑作4選

水上悟志短編集「放浪世界」
どぶがわ
夜の童話

人生、生きているとどうしても不条理なことが起こり、心を乱され怒りや悲しみに囚われてしまうことがあります。
しかし、そんな時にこそ力を発揮するのが物語。
読めば心晴れやかになる5冊を紹介します。

水上悟志短編集「放浪世界」水上悟志

2017年に読んだ短編の中でも1、2を争うほど面白く、読後は興奮冷めやらなかったのがこの短編集に載っている「虚無をゆく」でした。
様々なテイストの作品がギュッと詰まっており、ここから水上悟志ワールドに入門して他の作素晴らしい作品群に触れて行くのにも最適です。
非常に満足感の高い2018年を通してオススメし続けて行くであろう一冊です。

どぶがわ池辺葵

池辺葵先生のマンガにたたえられた静謐には、癒しと救いがあります。
どぶがわというタイトルを見てこの本を手に取る人は多くないかもしれません。
しかし、一たびこの本を開けばそこには人間の細やかな感情が丁寧に掬い取られて描かれた、結晶のような美しい世界が広がっています。
どぶがわの端で世界を優しく見つめる老女のまなざしを私も持ちたいです。
少し人生に疲れた時にこそ、読みたい一冊です。

夜の童話紺野キタ

絵柄からして優しさが溢れ出る紺野キタさんの作品群ですが、その中でもとりわけ優しさと暖かさに満ち溢れた短編集としてオススメしたいのがこちらです。
8編の物語が収録されていますが、とにかくどのお話も極上のハートフルさで読むと優しい気持ちになれます。
現実世界でちょっと辛いことがあった時に、濁った心をクリアにするために隣に携えておきたいマスターピースです。

お父さん、チビがいなくなりました西炯子

西炯子先生といえば『娚の一生』や『姉の結婚』などが映像化もされ有名ですが、個人的にはそれらよりもこの作品が大好きです。
老夫婦に訪れる離婚の危機には、人間が無意識の内にしてしまう相手への過剰な期待や甘えを思わされ身につまされます。
何よりラストシーンが実に美しく感動的で、自分ももし結婚したらかくありたいと思いました(老年まで一緒にいられる相手がまずは必要ですが……)。