人形には、魂が宿るって本当かしら。
分からないけれど、私はお人形を簡単に捨てることなんてできませんわ。人形は、単なるモノじゃないような気がするんですもの。怪しいほど美しい、人形たちの世界を覗き見てみませんこと?
少女を飼う、そんな危険な妄想を形にしたのが本作ですわ。
ミルクとお砂糖で育つ、美しく無垢な少女たち。そんな観用少女たちに翻弄される、少女を買った男たちの姿が、滑稽でもあり愛おしくもありますわ。
感情をほとんどあらわにしない観用少女になぜ男たちは夢中になるのか、その秘密をぜひご覧くださいませ。わたくしの家にも、こんな観賞用美少女が一人欲しいわ、って思っちゃいましたわ。
こちらは、人間そっくりの美しいドールと人間との関係を描いた短編集ですわ。ドールには感情が無いし、自分の意志もないはずなのに、人間そっくりのドールに感情移入して、そこに癒しを求める人たちの姿は、他人事とは思えませんでしたわ。
わたくしたちが、マンガのキャラクターや、アイドルに対して、幻想を抱き、期待し、孤独を癒している姿に似ていると思いましたから。
一言で申しますと、落ちこぼれ気味の少年がひょんなことから、アンティークドール、深紅に出会い、勇気を出して自分の人生を切り開いていくようになるお話です。
このマンガの神髄は、なんといっても深紅さまをはじめとするアンティークドールたちの愛らしさです! 衣装もゴスロリ心をくすぐられまくりで、アンティークドールグッズを買い揃えたくなってしまいますわ。
目が喜びます。
夢を叶えてくれる人形があなたの前に現れたら、あなたは何をお望みになるかしら? 普通、望みを叶えてくれるという存在が目の前に現れたら、喜んで自分の望みを語ってしまうと思います。
その望みを叶えるために、代償を支払わなければいけないことに気が付かずに。本作は、人間の欲望と、欲望の代償を恐ろしい形で表現したマンガです。
欲望には終わりはなく、自分を苦しめることになりかねない、と気づかされましたわ。
思い起こせば、本作を知ったのは、ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』を見ているときでしたわ。
「好きなマンガでは生活していけないから高円寺でバーを経営している」という漫画家さんが特集されていて、その漫画家さんこそ、本作の作者、木星在住先生でしたの。読んでみて、絵の美しさに舌を巻きましたわ。
こんなに絵のレベルが高いのにマンガだけでは生活していけないのか、とマンガ業界の競争の激しさを感じさせられました。
構想10年目にして単行本化されたという先生の力作をぜひ一度ご覧ください。