2021年暗いマンガ15選。暗くて重いダークな世界観の作品を紹介

心優しい少女・野咲春花（のざき はるか）は、引っ越し先でよそ者であるという理由から壮絶ないじめに遭っていました。 家族に心配をかけたくないという思いから学校に通い続けていた春花でしたが、ある日いじめグループによって両親を殺され、妹も全身火傷の重体となってしまいます。 真相を知った春花は、いじめグループに対し復讐を開始します。やがていじめの真相を知った彼女は復讐を開始する、というストーリーです。春花のかつての優しさと憎しみで変貌した描写の対比が、心に刺さります。

ほんの出来心で学校にイタズラをしかけた高校生たちでしたが、そのイタズラが意図せず死傷者が出るほどの大惨事になってしまいます。 当然、警察による犯人捜しが始まります。ある高校生は逃亡しようとし、また別の高校生は恋人とともに捕まるまでの時間を過ごそうとします。 罪の呵責と逮捕される恐怖、周囲の非難の中で自分を正当化しようと怯える高校生たちの心情は、決して許すことができないまでもどこか共感を抱いてしまいます。 2017年にドラマ化もされた話題作です。人間の本性と、高校生たちの顛末を見届けてみてください。

どこにでもいる普通の少年だった春日高男（かすが たかお）はある日、出来心で女子の体操着を盗んでしまったことを、クラスメイトの仲村佐和（なかむら さわ）に目撃されてしまいます。それから高男は、佐和の言いなりになって無茶な要求をされるようになりますが、次第に佐和との行動に奇妙な快楽を覚えていくようになります。 人の心の内にある"悪"にスポットを当てた作品で、高男と佐和以外に、高男が体操着を盗んだ相手の佐伯も、徐々に行動がおかしくなっていきます。そんな3人の結末は、お世辞にもハッピーエンドとは言いがたいものでした。 テレビアニメも公開され、2019年には実写映画も公開されました。人間の心の悪に対する憧れと闇に迫った作品です。

ある少女を教師から守るために、その教師を殺害し、逮捕されて"少年A"と呼ばれることになった13歳の少年のお話です。 事件が収束した後も、殺人という行為が少年に影を落とします。どこに行っても"少年A"という名前が、彼について離れません。やがて、彼の犯した殺人には、ある事実が隠されていたことが判明します。 殺人を犯した少年の加害者サイドから見るストーリーは、少年の葛藤、周囲からの冷たい態度を含めて決して明るいものではありません。しかし、謎に対する伏線もあり、続きが気になる鬱マンガです。

貴志祐介さんの小説をコミカライズした作品で、映画化もされています。教師である主人公が、裏では自分の都合のいいように人を操り、罪を犯すというサイコ･ホラーです。 主人公の蓮実聖司（はすみ せいじ）は生まれつき他者への共感能力が一切なく、他人の痛みや感情を理解することができませんでした。そんな彼は、学校生活の中で自分の地位をおびやかす可能性のある者や、都合の悪い者を殺人を含むあらゆる手段で排除にかかります。 しかし、彼の行為がふとしたきっかけで隠蔽不可能になってしまうと、彼は恐るべき凶行に出るのでした。 他人に共感能力がなく、自分の都合のために殺人すらいとわない主人公の心理描写は圧巻です。主人公の思考が読めないだけに、結末が気になる作品と言えるでしょう。

10日で5割の利息がつくという違法金融"カウカウファイナンス"を営む闇金業者・丑嶋を主役に描かれた作品です。普通の金融会社からは借りられない事情を持った債務者たちの悲惨な現状・末路を描いた作品は、多くの読者に衝撃を与えました。 丑嶋の目を通してみる社会の闇とも言うべき部分が反響を呼び、本作はテレビドラマ化・映画化もされています。債務者たちの多くに救いはなく、リアリティも伴ってつい自分のことのように考えてしまう作品です。

犯罪を犯しても決して反省しない最低の人間に対し、被害者からの依頼を受けて復讐を代行するという"復讐屋"の2人を主人公として描いた作品です。 犯罪を犯しても裁かれず、反省もしない人間たちに行うグロテスクな内容の復讐は、暗いながらも爽快感を与えてくれます。 本作は2016年から第二部『外道の歌』というタイトルで、同じ設定で引き続き連載されています。犯罪者によって苦しめられる被害者たちの様子と、復讐を遂げたときの達成感・快感はやみつきになってしまいます。

数々の変死事件現場に姿を現す謎の男・宇相吹 正（うそぶき ただし）。実は彼こそが、変死に見せかけて被害者たちを殺害している殺し屋だったのです。被害者を憎む・恨む人からの依頼を受けて、宇相吹は決して法律では立証できない方法で殺人を行っていきます。 宇相吹の手口もさることながら、依頼者の動機も嫉妬であったり、不倫の口封じだったりと汚いことが多く、多くの場合は決して後味が良いとは言えない結末になっています。ミステリー要素も含んだダーティーな本作は、2018年に実写映画も公開されています。

本シリーズは2000年3月から連載が開始されている長期作品です。第6部の『怨み屋本舗 WORST』は2021年現在も連載しています。 人の恨みを代わりに晴らす『怨み屋』を仕事にする女性を主人公にした作品です。恨み屋のルールとして、「本当に加害者を怨んでいること」を課していて、どの依頼人も対象に壮絶な怨みを抱いています。 怨むに至るまでの過程を丁寧に描いており、その分怨みを晴らすときの開放感は格別です。人間の汚い部分を本作を通して垣間見ることができます。テレビドラマシリーズ、テレビスペシャルも制作されています。

『闇金ウシジマくん』の作者である真鍋昌平さんによる新連載です。本作の主人公は弁護士という職業ですが、ひき逃げ犯や麻薬の不法所持者など、加害者側の弁護を担当する様子が作品で描かれています。 犯罪者と分かっていて弁護する主人公が法律の穴をつく弁護の手口、犯罪者の身勝手な理屈に振り回される被害者など、読んでいて不快になるはずの内容をなぜかすらすら読むことができます。法律に関する作者の適切な知識や、弁護士である主人公の仕事に対するひときわ変わった職業観がそう思わせるのかもしれません。